「外国人雇用はうちにはまだ早い」とお考えの経営者様

「うちは外国人をいれるほど人に困ってないよ」

まして、外国人なんて 時期尚早 ・・・。たしかに 中小企業 様では喫急の経営課題ではないかもしれません。外国人採用 を考えるほど、人員に窮しておいでの会社さんはすくないかもしれません。数年先の離職(退職)に備えた人員計画はいかがでしょうか。社員はいつまでもいてくれるとは限りません。いなくなった人と同程度の人材を確保するのは難しく、いなくなってから補充しても、大きな戦力ダウンになるのは否めません。先を見越して計画的な育成を考えておきたいものです。

視点を日本全体に広げてみると、内需は減る一方です。直接海外との取引がないとしても、納入先が国内の企業であったとしても最終製品は海外に輸出されているケースも多いことでしょう。サービス業でも訪日外国人旅行者の宿泊費、飲食費など外国人相手の収入が伸びています。トヨタの国内向生産台数は全体の2割程度です。在籍する社員は外国人のほうが多くなっています。海外の市場、とりわけ人口の多い、東南アジア諸国のマーケットは無視できません。

新興国の台頭によるビジネス環境のグローバル化が指摘されています。韓国、中国が成長をとげてきた時代と決定的に異なっているのは、新興国でもインターネットを通じて、情報を入手していることです。先進国と新興国の情報格差がきわめて縮まっています。インターネット、特に動画情報を通じ、まねをするスピードは過去とは比べ物にならないくらいはやくなっています。 

対して、日本は高齢化が進み、活力を失っています。現在の日本は、雇用の維持が重要課題となっており、労働力を柔軟に確保しにくい環境下にあります。人員不足、欠員の問題は、社内的な課題としてとらえがちです。内向きの発想のままでは、人材不足は緊急性の高い課題と感じられません。忙しいけれど、なんとかするしかない。目の前の業務はそれでいいかもしれません。しかし、外部環境に目を向け人材市場全体を俯瞰してとらえると、危機感を感じざるをえません。

そのうち、海外へ業務を発注することが当たり前になることでしょう。ところが、海外現地にマネジメントする日本人を派遣しないと、品質面で不安が残ります。そもそも海外にアウトソースして、国内の富を海外に流出させるのもおかしな話ですし、日本に来てもらって、お金を落としてもらったほうが地域経済にはよいわけで、なんらかのかたちで、海外に進出するか、海外の発注先を発注元である日本企業が海外まで出向いて管理しながら品質管理をするかどちらかになるわけです。海外に強い人材はどこかでは必要になってきそうです。

 

仮に自社で3人欠員の状態が継続しているとします。 競合他社は充足しているとするならば、自社と競合の差は「-3人」です。3人が担う生産量の不足は機械化、業務の効率化、既存の社員の協力で乗り越えられるかもしれません。目先の生産「量」では必ずしも競合他社と大きな差がつかないかもしれません。ところが、競合他社も同じように経営努力をして、機械化、効率化を図りつつ、さらに人員の拡充も進めているとするならば脅威です。

時間の経過とともに、相手方の拡充された人員「+3人」は熟練度を増していきますから、倍速で生産量に差がつきます。「-3人」の差は、競合他社の企業努力によっては、2乗、3乗の大差になりかねません。知らないうちに途方もない差がついていることもありえるのです。

人員不足を業務の効率化、既存の社員の協力で維持していた生産量は、無理のつけによる疲弊感、社員の物理的な老化による生産効率の急激な低下を招く可能性もあります。

 

人材は育てないと、育たない。

人材は一朝一夕には育ちませんから、早くはじめた会社との差は、広がるばかりです。「まったなし」の状態になる前に、先を見越して準備をしておく必要があります。仕事はあっても要員を確保できない、人手を協力会社、派遣会社、下請け、外注先に求めても手が空いている人はいません。教える手間ひまをかけている余裕などない、と言われそうですが、人がいないと仕事にならないのも事実です。要員を確保できないため受注を見合わせる、利益率の低い仕事にはりつきで、忙しい割りに儲からない、といった話はあちこちで聞こえています。教えてでも人を育てないと、という時代です。教育や就職の場面では二極化が進んでおり、かつてのように大手優良企業から中堅中小企業へ垂直に人材が流出、移動することは考えにくい状況です。教えると一口にいっても、作業を教えるだけではもう足りません。仕事の心得どころか、生活習慣レベルで指導しないと一人前の社員は育ちません。

「経営者意識をもって仕事にとりくむ」ことを会社スローガンにすえている会社はよく見受けられますが、昔と違って、商人(自営業者)は減少しています。経営者である親の後ろ姿を見て育ったこどもが減っているわけです。乱暴な数字の使い方となりますが、現在の日本国内の給与所得者は約5800万人、30年前は4200万人でした。専業主婦が減り、シニア層の就労者の増加が労働人口を押し上げています。30年ほどの間で約1000万人近くいた自営業者は300万人程度の減少です。食料品店、衣料品店などの小売店は、大型店舗に集約され、個人商店の集まりであった商店街はシャッターがしまっています。今では、100円ショップ、チェーンの飲食店が軒を並べています。親戚一同サラリーマン、公務員という家庭も珍しくないことでしょう。経営者の原風景を持たない従業員に経営者意識を持って、と伝えても、なかなか伝わりようがないわけです。

このような日本国内の現状に対し、東南アジア諸国では、企業の数がまだまだ少ないですし、企業形態も家業を多少組織化した程度の小事業者が大半をしめます。昼夜なく、せっせと働く親の後ろ姿を見て育った若者がたくさんいます。だから、商売っ気があり、ハングリーだといわれてきたのかもしれません。東南アジアの若者がハングリーかといわれると、そうでもなくなってきていますが、商売人としての素養は日本の若者よりもありそうな気がします。

外国人を受け入れる土壌もないし、準備もできない、担当者もいないし、と聞こえてきそうです。結局、人がいないからできない、の問題を解決するには、人を入れる努力をするほかにはありません。日本国内で人員をまかなえる会社さんは、社員の育成に力を注力していただいて、まかなえそうにない会社さんは、外国人にターゲットをしぼるかどうかは別として、採用活動の改善にすぐ取り組んでください。もう人を育てないと、育った人をよそから、という発想では人材の確保維持が難しいです。


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